scenario-06

サリヴァン・グレイ



■サガミシティ018 スターティア家別荘/11:30■

【裕麻】
「見て見てフレディ!

 二週間前と比べてこんなにスコアが伸びてるわ。
 今度学校に行ったら、教官達にまた褒められるわよ!」
【フレディ】
「ありがとう。

 これもユマの教え方が上手なおかげだよ」
「ううん、あたしはただ指導書のマニュアル通りに教えてるだけだもの。
 フレディの飲みこみが早いおかげで、もうすぐ教えることが無くなっちゃいそうよ」 
「今日のボクのレッスンはこれで終わりだよね。
 さ、次はユマの番だよ!」
「はーい……」
【リチャード】
「準備はよろしいですかミス・ツチナリ?

 L.C.フィール、セキュリティロック解除します」
>裕麻はL.C.フィールを起動させた
「どう?異常は無い?」                              
「ええ。モニターの画像も安定してるわ」
「今日は空中旋回に挑戦してみようか。
 基本は前回やった空中移動と同じだよ」
(これじゃ、どっちが教官なのか分からないわね)



(あたしがSランクのCEMに乗れる日が来るなんて夢にも思わなかったなぁ……。
 このL.C.フィールを預けてくれたフレディのためにも
 早く使いこなせるようにならなくっちゃ!
「ふふ、見てよリチャード。
 まだ数回しか乗ってないのに彼女とCEMとの一体感を感じる。
 やっぱりボクが思った通り、ユマとL.C.フィールは相性ピッタリだ」
「坊ちゃま、 何だか嬉しそうなご様子でございますね……。
 旦那様がお坊ちゃまのためだけにお作りになったL.C.フィールを
 本当にミス・ツチナリに譲ってもよろしかったのですか?」
「脳波のパターンからCE反応までボク専用に設計されたCEMを
 抵抗反応ゼロで操る事が出来る人間に出会えたなんて、これは
奇跡だよ。
 ボクとL.C.フィールが認められる人間……それがユマだ」 
「確かに適性も坊ちゃま同様パーフェクトな相性だった事には驚きましたが……
 それでも彼女はまだCEM戦闘の経験も浅い仮免教官でございますよ。
 探そうと思えば、他にもレベルの高い優秀な人材が……」
「リチャード。CEMの操縦技術は問題じゃないんだ。
 ボクはパパから貰ったL.C.フィールを、あの男と同じように使うつもりは無いよ
……」
それに、困ったことにL.C.フィールがユマに一目惚れしちゃったんだ」
「坊ちゃま……」
(飛行は生徒時代以来だからどうなるかと思ったけど……
 よく言う事きいてくれて助かったわ、L.C.フィール!)
(でも、今日もトリプルテイルは出せなかったなぁ。
 そろそろダブルテイルくらいは出せるようになりたいところだけど……)
……ィィィ……
(?
 何?耳鳴り……?)
キイイイイイイイイイイン!
「?!」

 L.C.フィールの動きがおかしい……

 ユマ、どうしたの?!」 
「わっ……分からないわ!
 急に高度が低下して……きゃぁ?!モニター画面が真っ暗……
 操縦もきか……な………」
ユマ?ユマ!!
 ……だめだ、通信機能もやられた!
 リチャード!ここから緊急コントロールできる?!
「無理でございます、坊ちゃま!
 こちらの管理者権限での命令コマンドが完全にブロックされているようです。
 一体何が……?!」 
「お……
 落ちるー!
 お願いL.C.フィール、動いてっ!!」
「ユマ!!!」
イイイイイ…………
(もうダメ……!
 ……?) 
【聞き覚えの無い男の声】
「……フフフ……

 またね」
「え?」
「……ユマ!
 ユマ!
 大丈夫?!」
「フレディ……?
 あれ、あたし……。
 操縦できなくなって……そうか、気絶してたのね……」
「間一髪でルシェルフィールの自動帰還システムが復旧し墜落を免れました。
 整備担当を呼び、すぐに機体の精密検査に入ります」
「ごめんなさいフレディ!
 あたしが調子に乗って、無茶な操縦しちゃったのかも……」
「ううん、ユマが無事ならそれでいいんだ。
 色々あってお腹減ったでしょう?
 さ、屋敷に戻ってランチにしよう!」 


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