■彗星機士学校 ヴァーチャルトレーニングルーム/10:00■

【暁】
「あれ?
 東教官、今日はやけにオシャレしてませんか?」
【はさな】
「そーぉ?
 普段どーりのキレイなキレイなはさなちゃんじゃない♪」
「そっスか?
 なんかメイクの気合がいつもと違うような……」
「さっ、今日も元気にヴァーチャルヴァーチャル☆
 さっさと乗った乗ったぁ!」
「ハイハイ
 ……ん?」
館内アナウンス】
『只今から見学生A班、第三ヴァーチャルルームに入ります』
「今年こそは掘り出し者見つけないとネ!」
(そーいう事か……)



「どーでしたか教官、オレのヴァーチャル!
 今日は自分でも調子いいかなって思ったんスけど……」
「あー、めちゃくちゃ不調よー。
 もう来るヤツ来るヤツ、みーんな小数点以下のオンパレードじゃないのさぁ〜」
「教官、オレのトレーニング見てましたかぁ……?」
【聞き覚えの無い男の声】
「これが今年の合格者かよ?

 ハッ!たいした事ねぇな」
「ん?」
【稲妻眉毛の男】
「今年は人選ミスってんじゃねーの?」  
【化粧の濃い女】
「おや……自分の方がいい操縦できそうな言い方だね、キッド」
「げ〜……ヤな女が来た」
「東教官の知り合いですか?」
「ごきげんよう、東教官。
 初めて個人教官を担当する生徒さんの指導具合はいかが?」
「も〜おかげさまでアタシに似たイイコで指導も円滑ですわ、
 バーントシェンナさん」
【コニー=バーントシェンナ】
「アンタに似てるようじゃ、その子が退学になる日もそう遠くなさそうね」
「なんじゃそりゃ〜!
 どーいう意味よ?!」
【キッド=ロウ】
「おい。
 あのヴァーチャルのNo.5、テメェが乗って
たのかよ?」
「え?そうだよ!」
「てっきり見学生が操縦してんのかと思ったぜ。
 あんなトーシローな乗り方じゃ、ヴァーチャルの方が可哀相ってなモンだ」
「そーゆーキミは見学生なんじゃないの?
 受付でパンフとバッジもらった?」
「ナメんな!
 見学生なんかと一緒にすんじゃねーよ!」
「え?じゃあ、ここの生徒?」
「来期の期待のルーキーだ」
(入学候補生ね。
 あんま変わんないじゃないの)
「ところでよォ……
 テメェが今期の新入生トップの名細クンってこたぁねぇよな?」
「銀を知ってんの?」
「キッド。
 今日は現職教官とのヴァーチャル対戦だけだって言ったろ。
 生徒との対戦なんてやらないよ」
「なぁに?
 もしかしてキミ、銀クンと対戦するつもりだったの?」
「ここでヤツを叩きのめせば、今からでも特例入学できると思ったんだけどなぁ……
 仕方ねぇや」
「それ、夢見過ぎ!」
「はさな、今日はアンタ実演やらないのかい?」
「アタシじゃないわよ。
 今日の午後からの実演担当は阿御威だったと思うけど」
「へー、源女教官実演やるんだ。
 教官、オレ達も見に行きましょうよ!」
「えー?あんなの見てもつっまんないわよー。
 一般人相手だから手加減しまくりだし」
「源女ってーと、たしか名細の個人教官だったよな。
 おい、コニー!
 オレをそいつと対戦させろ!」
「恥かきたいなら好きにしな」
「いーなぁ、オレも一回でいいから教官達と対戦してみたいなぁ」
「心配しなくても授業が進めば個人教官との対戦がトレーニングメニューに入るわよ。
 ま、アンタがテストで赤点取りまくって退学にならなきゃの話だけどね!」
「うっ……
 ソレを言われちゃうと……」


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