■彗星機士学校 イベントホール/13:30■

【暁】
「わ〜、ただ実演するだけなのに、なんかスゴイ観客の多さですね。

 学校見学者以外にウチの生徒まで」
【はさな】
「阿御威は滅多に対戦なんかしないからねー。

 みんな物珍しくて集まってるだけでしょ」
「あ!銀!」
【銀】
「なんだ……お前も来ていたのか」
「源女教官って、どんな戦い方すんの?」
「それをこれから研究する」
「銀クンは勉強熱心ね〜!
 ウチの暁にも見習わせたいわぁ〜」
【コニー】
「へぇ、この子が名細クン?

 こんな髪の色してたのは意外だけど、噂通りのイイ男じゃないの」
「ちょっとコニー!アタシの銀クンに近づかないでよッ!
 アンタのオバハンオーラで銀クンが汚れるでしょ!!」
「ぬぁんですって〜?!」
「あ、始まるみたいっスよ!」
【アナウンス】
『それでは対戦する見学生の方をご紹介します』
『キッド=ロウ君。十七歳。
 今期の入学候補生です』
「わー!アイツほんとに挑戦してるよ!」
「自機にヘビーのタイプP型を選んだか。
 ふん、力押しでどうにかしようとする初心者が考えそうな選択だな」
「あれ?源女教官はミニマムのタイプS型なのか。
 しかも武器が予備装備のニードル(針)だけだ。
 銀の個人教官だから射撃が得意だと思ったんだけど、意外だなぁ」
「得意武器を使うまでもない相手という事だ」
【キッド】
『オレもナメられたモンだぜ……。

 ま、こっちにゃ好都合だけどよ』    
【アナウンス】
『FIGHT START!』
『あんなチョコマカ速ェだけのミニマム、一発当てりゃあオシマイよ!』
「当てる事が出来ればの話だ」
「あの子、しょっぱなからフルパワーで突っ込むわね〜。
 うんうん、若い若い☆」
「源女教官はまだ一度も反撃に出ませんね。
 アイツに隙がなくて近付けないってわけでもないよなぁ」
【阿御威】
『聞こえるかな、キッド=ロウ君』
『なんだ?
 戦闘中に話しかけるとは、さすがに余裕だな』
『このまま続けても君の為にはならない。
 折角の正規のヴァーチャル戦闘体験だ……
 ここは真剣勝負に出られる相手が欲しくはないか?』
『ナメんな!
 アンタが手加減せずに勝負すりゃイイだけの話なんだよ!』
『分からない坊やだな……』
『ッ?!』
>キッドの機体はすれ違いざまに阿御威の一撃で致命傷を負った
「いっ……一撃でデンジャー状態?!
 速すぎて全然見えなかったけど、あんな小さいCEMでどーやって?!?!」
(最小の攻撃で最大のダメージ……。
 タイプS型が得意とする自機CE活性と、敵機CE停止を瞬時に実行したのか。
 
教官クラスのCE反応の持ち主なら、こんな下級CEMでも十分というわけだな)
『私は気が長い方ではない。
 どうする?』
『……チッ!』
「あれ?
 二人の動きが止まった」
「ここで現職教官による実演は終了する」
「はぁー?!
 何言ってんのアイツ!
 まだ終わってないでしょ?!」
「ここからは生徒によるヴァーチャル対戦実演を行う。
 機動警護科1−B 日野出 暁君。
 速やかにNo.3の操縦席へ着くように」
「オ……オレ?!」
「なっ……!」
「ったく阿御威のヤツ……ナニ勝手なコト言ってんの?!
 暁、行くこたないわよ!!
 だいたいアンタ、ここじゃ人間とのタイマン勝負経験も無いんだし!」
「……オレ、行って来ます!」
「ちょっと、暁ィー?!」
「あの子、入学試験で初めて乗ったFランのCEMが全然動かなくて
 ホントに隕子反応がレベルSなのかも怪しいって噂になってるそうじゃないの。
 フン、やっぱり自分の生徒に自信がないご様子だねぇ」           
「違うわよ!
 阿御威の思い通りになるのがイヤなだけよっっ!」
(源女教官……なぜ……)


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