■サガミシティ003 マーケットエリア/14:00■

【買い物袋を抱える裕麻】
(新しいシャツも買ったし、ストッキングの予備もOK、と)
(今日は奮発して本も買っちゃった!
 黒那岐 阿門(くろなぎ あもん)さんの『リトロポス』シリーズ最新作……
 
早く読みたいなぁ)
【カン高い女性の声】
「ちょっと、そこのお嬢さん!」
「え?
 あ、はい……?」
【セールスレディ】
「お嬢さん、CEに興味ありません?
 この新製品のカプセル、続けて飲むとCE隕子が開発されて
 なんと!隕子反応レベルを上げられる効果が……」
「えっ?
 CE隕子は先天性ですから、薬を飲んでも変えることなんて……」
「今の時代、せめてレベルEにはCEに反応できないとイイ仕事選べませんものねぇ。
 あ、これダイエット効果もありますのよ!」
「あ、あの……
 あたし、いいです。間に合ってますっ」
>裕麻はその場から逃げ出した
(相変わらず怪しいキャッチセールスが横行してるわね。
 CEのことをよく知らない人を狙った詐欺事件も後を絶たないし……) 
(でも、ダイエット効果の方にはちょっとグっと来ちゃったかも。
 最近ちょっと甘いもの摂りすぎてるし……
ダイエット始めようかなぁ)
【街頭演説の声】
『カオスエネルゲアは地上の救世主か?
 否!カオスエネルゲアは滅びの申し子!!』
(?
 あれは……)
 
【街頭演説するアクションが大きい男】
『今も世界各国ではCE隕石の所有を巡り戦争が起こっています!
 力の均衡を崩す強力な隕力は、地球を破壊する危険なエネルギーに他なりません!』
(隕力反対派の人か……)
『おまけにCEを使えるリトロポスであるか否かで雇用に差が出るこの日本の現状!
 先天的な体質の問題で僕達アンソロポスが差別されるなんて絶対おかしいッ!
 本来、人類はみな平等であるべきなのです!!』
【取り巻きの聴衆】
「そうだ、そうだー!」
飛木庭 八郎太 (ひこば はちろうた)】
『我々、人類地球党はこの地上からCEを一掃すべく断固戦います!

 ワタシとアナタでラブ・アース!
 人類地球党、
飛木庭 八郎太をヨロシクお願いしまーすっ!』
【取り巻きの聴衆
「CE反対ー!
 地球と人を破壊に導くCEMを許すなー!」
CEMに対してまだまだ誤解が多いみたい……。
 リトロとアンソロが分かり合えるまで、一般社会に正しいCE知識の浸透が必要ね)
【呆れたような男の声】
「隕力が無ければ地球がどのような状態になっていたかも知らず……
 全く、救いようがありませんね」
「?」
【通りすがりのプラチナブロンドの男】
「いつの時代もあの手の無能な連中が文明の発展を遅らせる。
 CEを活用できないアンソロこそ、早く地上から消えて欲しいものです」
「……」



【人の叫び声】
「キャーッ!!!」
「!
 あれは!!」
【銀行から飛び出してきた武装CEM】
『どきやがれ!

 死にたくなけりゃ道空けなぁ!!』
(銀行強盗?!
 こんな所で民間のCEM犯罪が!)
「!!
 戦闘用CEM?!
 ホ……ホンモノ?!」
「みんな、道路から離れて!
 早く手近な耐隕力施設に避難してください!」
『み……皆さん、落ち着いてください!
 こういう時こそ我々は力に屈せず毅然とした態度で……』
『ジャマだ!
 どけえーーーッ!』
「えっ?!
 うわーーー!」
「くっ……!」
>裕麻は回転しながら突っ込んできた武装CEMから八郎太をかばった
「さぁ!あなたも早く逃げてください!」
「き……君は?!」
>裕麻は八郎太に彗星機士章を見せた
「彗星機士学校の者です!」
「な……なんだ、彗星機士学校の人なのか!
 だったら君ッ!
 あの迷惑な武装CEM、君もCEM使ってナントカしてくれたまえ!」
「そ、それは……CEMが手元に無い状況じゃ何もできないし、
 それに、彗星機士学校の人間は許可無く学校外でのCEM戦闘は禁止なんです。
 とりあえず、今は機動警護隊の到着を待つしか……!」
「えー?!」
【泣き叫ぶ女性】
「誰か、誰かお願いしますっ!
 あそこに居るうちの子を助けてくださいっ!」
「!」
【逃げ遅れた男の子】
「うわーん、おかあさぁぁん!」
『チッ、やっぱバルクで適当に組んだ安物CEMはダメだな。
 思うように動きゃしねぇ』
(なんてめちゃくちゃな操縦……
 いけない、このままじゃあの武装CEMがあの子の所へ!)
「あ!
 ちょ…ちょっと、キミ?!」
>裕麻は男の子の元へ駆け出した
「!」
「ぼく、大丈夫?
 ケガは無い?」
「う、うん……!」
>裕麻は男の子を抱き上げた
「もう大丈夫よ。
 さぁ、お母さんのところへ……」
『どけどけどけぇーーーッ!』
(!
 こっちへ来る!!)
「!
 いやああっ!」
「……っ!」
【少年の声】
『伏せてください!』
「?!」

ズガァン!

『うおっ?!』
>武装CEMは上空からの攻撃で弾き飛ばされた
「な……
 なに?!」
>上空に巨大なCEMが輝きを放ち佇んでいる
(!
 あのCEMは……)
『なっ……何だ?!
 もう機動警護隊のヤツらが着やがったのかッ!』
【謎の巨大なCEM】
『……』
(違う、機動警護隊のCEMじゃない……。
 何?これも民間のCEMなの?
 でも、それにしては精巧過ぎる……このサイズであの高さまで飛行できるなんて!)
『ここは危険です。
 その子を連れて早く安全な場所へ避難してください』
(子供の声?!)
「は……はい!」
『邪魔すんなァ!』
(無駄だよ……)
>謎の巨大CEMの機体は武装CEMの全弾を弾いた
『全然効いてねェ?!』
(被害を最小限に……)
『……!!!』
>謎の巨大CEMから発射された光に貫かれ武装CEMは崩壊を始めた
(すごい!一撃でCEMのコアを破壊してる!
 なんて装甲とパワーなの……!)
【機動警護隊】
『そこの所属不明CEM2機!
 武器を捨てて大人しく投降しろ!』
「!違うんです!
 空中にいるCEMの方は……!」
『……』
>謎の巨大CEMは三本のテイルを放ちながら飛び去った
(トリプルテイル?!)
「おかあさぁぁん!」
「良かった……!
 本当に、本当にありがとうございます!」
「いえ、私は何も……。
 空から助けに来てくれたあのCEMのおかげです」
「ねえ、おかあさん。
 お空からぼくたちを助けてくれたCEM……
 天使だったのかなぁ」


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