scenario-07

パブリックヒーロー



■彗星機士学校 はさなの個人教官室/10:00■

【暁】
「東教官……。
 今日は折り入って、教官に大事なお願いがあるんです」
【ネイルの手入れに勤しむはさな】
「お金なら貸さないわよ」
「あ。
 やっぱダメっスか?」
「アンタ、シティのゲーセン入り浸って今月の生活費全部注ぎ込んだんだって?
 親御さんに仕送りしてもらってる身だってのに、バッカじゃないの?!」
「だって、あとちょっとで景品のペンギンウォッチ取れるところだったんスよ!
 限定品のトロピカルカラーっスよ?!

 ……って教官、誰からその話を……」
【聞き覚えのある声】
「だから言っただろ、暁。
 はさなちゃんに金借りるのは、宇和助教官が嫁さん貰うより望みのない話だって」
「J!」
【Jと呼ばれたフランクな金髪男】
「センパイの言うことは素直に聞いとくもんだぜ、一年生」
「ちょっと、J!
 な〜にはさなちゃんのお城ン中に勝手に入ってきてんのよ!」
【ジェイク=マクドナルド】
カワイイ後輩が思いつめた顔で野獣の縄張りに入ってくとこ見て、
 学生寮の部屋が隣同士のナイスガイなセンパイとしては放っとけないだろ?」
「やっだ〜、カワイイ後輩がゲーセンですっからかんになるまで隣にいたのに
 止めたげなかった
Jセンパイってばやっさし〜い☆
 美しい野獣の代わりにアンタがコイツに金貸したげなさいよ!」
「生憎、オレは女の子以外にお金という愛の手を差し伸べると死んじまう
 不治の病なんでね」
「やぁ〜ん、Jセンパイってばカぁッコイイ〜☆
 じゃあじゃあ、目の前のかわゆいはさなちゃんにも愛の手プリーズっ☆」
「オレが今『女の子』って言ったの、聴こえなかったか?」
「ガーーーー!」
(J、女の事ならオレに任せろって言ってたけど
 東教官の扱いもお手の物だなぁ)
「と・に・か・く!
 いくらアタシがアンタの個人教官だからって、生徒に金なんて借せるわけないじゃない。
 次の仕送りまで水でも飲んで、仙人ライフ送って悟り開いちゃえば?」
「うう、家から送ってきた野菜もみんなに配って無くなっちゃったし……
 悟り開けばペンギンウォッチも取れるかな〜」
「そう絶望に打ちひしがれるなよ暁。
 借りられないなら自分で稼げ、ってな。
 ほらよ
>Jは暁に携帯画面のウェブサイト見せた
「なになに……?
 『第十回サガミシティ・トイCEMフェスティバル
 自慢のトイCEMで競争だ!優勝者には賞金、作品商品化のチャンスあり』?」
「なあに、もうTCFの季節なの?
 毎年素人が自由な発想で作ったヘンテコなトイCEMが勢揃いして
 結構オモシロイのよねー」
「アマチュアが集まって自作のオモチャ、トイCEMをお披露目する大会だ。
 CEMに使えるCEコアはFラン限定、搭乗者の操縦技能クラスもF級限定。

 暁。オマエってまだCEM技能検定受けてないF級なんだろ?」
「うん。
 操縦技能はF級だし、この大会も面白そうだけど……
 でもオレ、自分のトイCEMなんて持ってないからなぁー」
「丁度、オレの知り合いが大会に出るための
 トイCEMドライバーを探してたりするんだが……

 どうだ暁。いっちょ優勝目指してやってみないか?」


NEXT





Copyright (C)Asaki Yumemishi All rights reserved.