scenario-03

―囁き― リトロポス



■サガミシティ005 居酒屋 /19:30■

【お酌をするはさな】
「いや〜……仮とはいえ、まっさかホントに裕麻がCEMの教官免許取っちゃうとはね〜。

 ま、今日はアンタが主役なんだから。さっ、飲んで飲んで♪」
【裕麻】
「えへへ、ありがとはさな……

 って、入れ過ぎ入れ過ぎ!」
【暁】
「それにしても、裕麻サンも彗星機士だったなんて今まで
知りませんでしたよ!
 オレ、てっきり事務のお姉さんだとばかり……」
【阿御威】
学校の事務や助教官の仕事歴も教官採用試験の際、評価の対象になるからな。
 ともあれおめでとう、裕麻。

 銀。ほら、お前も」
【銀】
教官免許取得おめでとうござます、椎成教官」
「阿御威も銀君も、忙しいのにお祝いに来てくれてありがとう!
 でも、教官免許取得っていってもまだ仮免だから
 あたしが教官って呼んでもらえるのはもっとずっと先の話になりそう」
「なんだぁ、これから裕麻サンにもCEMの勉強教えてもらえるわけじゃないのか。
 東教官、仮免教官ってどんな仕事するんスか?」
「えーと…………何してたっけ?
 はさなちゃん、仮免なんか半年くらいしかやんなかったから忘れちゃった」
「はさなや阿御威くらい飛び抜けた才能あれば半年でも余裕だよね。
 あたしの場合は教官って呼ばれるまでに何年かかるか……」
「仮免期間は主に学校や機動警護庁からの応援要請での戦闘実績を重視される。
 激しい紛争地域で戦闘実績を上げれば現職教官など即採用だ」
「阿御威みたいに海外で派遣機兵?
 うーん……わたし、翻訳機が無いと外国語ってダメだし
 日本で国内の現場の応援要請受けながら地道にがんばろうかなって」
「この平和な日本じゃなかなか戦功稼げないのよねぇ。
 アタシの同期でまだ仮免してるヤツいるし」
「お前はスタートから手柄挙げるのに必死だったんだろ。
 要請も無いのに勝手に現場へ出しゃばって、付いたあだ名は戦功泥棒だったか?」
「あれは自己アッピールっていうのよっ!
 なによ、アンタなんか海外で一発デカいの当てちゃってさー。
 スピード出世野郎にはさなちゃんの並々ならぬ苦労がねぇー……!」
「そういえば、裕麻。
 お前、今度来る入学候補生の個人教官にも選ばれたそうじゃないか」
「うん、そうなの!
 入学候補生の中に、あたしとかなり近いCEM適性の人が居たみたいで……」
「入学候補生?」
「何らかの事情で入学できるまでには至らなかったが
 見込みのある者は彗星機士学校からの指導が特別に受けられる制度だ」
「なるほど。
 生徒候補と教官候補で互いに勉強を、という事ですか」
「そう、半人前同士でがんばろうって事ね。
 本当は現職教官の指導が一番いいんだけど、なにしろ人手不足だから……。
 あたしも早く教官の仕事覚えて、候補生の人の力になれるようにがんばらなくちゃ!」


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