■サガミシティ003 彗星機士学校/8:15■

【うろちょろする少年】
(なんだぁ、反対側の建物だったのか!)
【受付に座る鼻眼鏡の女性】
「新入生の方ですね?

 彗星機士学校ご入学おめでとうございます。
 データと照合しますから、学校が送付した入学許可証を提示してください」 
「あ、ハイ!」
>本人認証システムに少年のデータが映し出された
「日野出 暁くん、ですね。
 ……あら?

 もしかして、あなたが噂の暁くん?」
【日野出 暁(ひので あかつき)】
「え?噂?」
「うふふ……色々とね。
 入学試験の無茶なCEMの操縦とか、教官達の間で評判ですよ」
「す……すみません!
 実は戦闘用CEMの操縦って、あの入学テストの時が初めてだったもんで……」
「なんだか似てるなぁ。
 これから君の個人教官を担当する人もよく無茶するんですよ。
 こっちも教官達の間で、ある意味評判なんだけど」
(オレに似て無茶する個人教官……どんな人だろ?)
「あ、そうそう。
 もう式は始まっちゃってるから、入場は静かにお願いしますね」



(うわ、彗星機士目指すだけあってみんな真面目そうな人が集まってるな〜。
 それに大人の人ばっかりだ
【壇上の学長】
「カオスエネルゲア隕石の発見から一世紀。
 この国、日本(ヒノモト)をはじめ、我々人類は『隕力』という
 新たなエネルギーを手に入れました」
「隕力と科学を融合させた隕力機械・Chaos Energeia Mechanismos
 通称『CEM(セム)』は人々の生活に根付き
 日々進化を遂げています」
隕力がエネルギーのCEMが作られたのって一世紀も昔だったのか。
 昔の人は機械っていえば電力に頼ってたんだっけ)
しかし、CEMによる犯罪も日々深刻化している現状です。
 これからここで諸君らが習得する戦闘CEMの操縦技能においては
 決して人としての心を忘れず、正しく隕力を用いることを諸君らに期待します」
【式進行係の教員】
「一文字学長の挨拶でした。
 え〜、続きまして……」
(そろそろオレも席に座らないとな。
 静かに、静かに〜……っと)
【壇上で講演する目元の涼しい女性教官】
「……つまり、個人教官とは生徒の能力を最大限に伸ばす
パートナーです
 個人教官の選別は精神面及び心理面、CEM操縦に不可欠な隕力反応などで
 生徒と教官の相性をあらかじめマッチングし……
(えーっと、空いてる席はー……
 ……あった!)
「……よって、個人教官個人が所有するICEA認定の戦闘用CEMも
 訓練次第では将来的に君達生徒諸君へ譲渡できる可能性もあり……」
「おわっ?!」

がっしゃーん!

>暁は花瓶が乗った机のテーブルクロスを踏んずけ派手にコケてしまった
【ごつい男性教官】
「そこッ!
 静かにせんかッッ!」
「すす……スミマセーン!」  
【来賓席に座る眼光の鋭い老人】
「……」
来賓席に座る威風堂々の壮年男性
「ハハッ、今年の入学生は元気ですな」
「うひゃあ?!
 な……なんなの、そこのキミ!
 なにしてんのッ?!」
「あ!」
>暁が落とした花瓶の水が一人の男子生徒を濡らしている
服が濡れた冷たい視線の少年】
「……」
「ごめん!水かかっちゃったか。
 そうだ、オレの服と交換する?
 とりあえず、このハンドタオルで……」
「俺に触るな」
>冷たい視線の少年は暁が差し出したハンドタオルを手で払いのけた
(……)
(……)
「早く席に着け。式が進行しない」
「は……はぁ。
 ほんとゴメンなっ!」


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